DETAIL
世界の「保育の質」研究は明らかにした。「質のいい保育は、子どもの人生を変える」と。経済効率優先の日本の保育政策と対峙し、すべての子どもの「権利としての保育」実現のために、私たちがめざすべき保育観・保育条件・保育者の専門性とは何かを明らかにする。
はじめに
第一章 いま、保育観が問われる時代――二つの保育観と世界と日本の保育改革
1 「今、ここにある生活」のなかで育つ子どもたち〜OECD報告「人生の始まりこそ力強く」を手がかりに
2 わが国の保育政策と「二つの保育観」問題
3 「今、ここにある生活」を大事にする保育とは〜レッジョエミリア実践の子ども観
4 「子どもの生活を大切にする」カリキュラムの構造〜ニュージーランドカリキュラム「テ・ファリキ」にみる生活と教育
第二章 市場原理と保育の質―質の悪化を招く、日本の保育改革
1 市場化推進論における保育の〈コストと質〉
2 「保育の質」への市場主義的アプローチ
3 アメリカでの研究に見る「保育の質」の定義と評価
4 市場主義的「保育の質」論の問題点
5 「サービスとしての保育の質」と「権利としての保育の質」
6 保育市場化論におけるコスト論の問題点
第三章 第三者評価・マニュアル化と保育の質
1 保育サービスの評価基準はどのようにつくられたか〜東京都サービス評価システムの保育観を問う
2 マニュアル化と「保育の質」
3 保育の規格化・標準化がかかえる矛盾
4 倫理的ジレンマと保育者の専門性
第四章 保育の質研究が明らかにしたもの
1 質のよい保育は、子どもの人生を変える〜「保育の質」研究が始まったわけ
2 カリキュラムと保育の質
3 子どもの「集中」が示す保育の質
4 保育者と子どもの「いい関係」とは〜園によってちがう保育者――子ども関係(1)
5 園の雰囲気・文化・子ども観〜園によってちがう保育者――子ども関係(2)
6 「親とのいい関係」は良質な保育実践の中心問題
7 保育条件は子どもの発達条件
8 保育の質の「評価」と保育者の責任
あとがき