DETAIL
全国的に指摘されている年長保育の困難にこたえる試みとして、子ども自身の「必要性」から活動を出発・発展させ、子どもの「心地よい背伸び」を保障することにこだわった5歳児クラスの一年をとりあげ、幼児後期の「協同的学び・対話的保育」の理論と実践を明らかにする。
はじめに
第1章 5歳児の取り組んだ新潟中越地震支援プロジェクト
1 公開保育は、ギンナンの袋詰め
2 やよいとさゆりが持ってきた新聞の切り抜き記事をきっかけに
3 ギンナンを拾ってお金を送ろう
4 新潟で地震さえなければ拾わなくてもよかったのに
5 ギンナンを売ったお金で、ポップコーン用のトウモロコシを買う
第2章 対話的関係の中で創りだされた幼児後期の協同的な学び
1 対話的関係を基礎に展開された5歳児保育
2 「必然性」と「必要性」にこだわって取り組んだウサギの当番活動
3 ウサギ当番はじゃんけんで
4 海賊の小屋をつくろう
5 ぼくもなりたい! 虫博士
6 カッパと出会った子どもたち
第3章 「誘導」と「対話」と「袋小路に追い込む話し合い」と(保育者の願いが先行して開始された「池再生プロジェクト」
1 保育者の願いが先行して開始された「池再生プロジェクト」
2 池の存在に気づかせ、つくり直す「必要性」を自覚させる取り組み
3 ならさ、つくり直せばいいんだよ
4 池再生のための作業を開始する
5 池再生に向けて、再び思いをふくらませる
6 カッパの願いに応えて、池の周囲にドングリを植える
7 カッパを怖がる子どもたち、小川芋銭の絵に出会う
8 子どもたち、池に橋を架ける
9 「対話的関係」と「袋小路に追い込む話し合い」との間
10 幼児後期の子どもの発達における「学び」と「遊び」の関係
11 幼児期の「学び」における「生活的概念」と「科学的概念」
12 幼児の「学びの多様性」と保育者の指導の多様性
13 幼児の「協同的学び」における「個」と「集団」の関係
第4章 活動を支える保育者の学び(保育の背景としての保育者
1 保育の背景としての保育者
2 保育への疑問に向きあい続ける
3 保育者間で話し合うこと
4 要求のことばを聞くために――「待つ」こと
5 聞き、語ることの意味
6 要求のことばを聞くために――実践記録をとること
7 保育者の学びと知的興奮
8 真剣なおとなたち
9 翌年度の課題
おわりに